大学時代に受けていた近現代文学の授業で、毎週、指定された本の論点を書いて提出するというものがありました。指定される本は、夏目漱石、森鴎外、などの近現代の作家のもの。最初は、本が読める授業なんて面白そうと軽い気持ちで受け始めたのですが、これがもう、ものすごく大変な授業なのでした。1週間で1冊本を読んで、レポート。その1冊というのも、普段読み慣れていない堅い言葉の小説。読むだけでも悪戦苦闘・・。この時代の人たちって、どうしてこんなに苦悩を抱えているんだ??と疑問に思うことしきり。さらに論点を書くというのも、なかなか難しいもの。最初のレポートで感想を書いて提出したら、先生からしっかり赤ペンで「感想は書かない!」と直されました。
課題をこなしていくうちに、本の読み方が少し変わっていったのを覚えています。読んでいる段階から、問題意識を持ちながら、「なんでこの主人公はこんな行動をしたのだろう」とか、「このセリフは裏にこんな意味があるんじゃないか」ということを考えるようになったのです。レポートを提出した次の週には、みんながどんなところに物語の論点をとらえていたのか、話し合います。この繰り返しで、1年間、かなり鍛えられたような気がします。文学を読む面白さを知ったのもこの授業でした。