この間近所のスーパーに行った時に、姉妹と思われる少女が、お揃いのワンピースを着ていました。それで思いだしたのは、自分の子供時代のことです。末っ子の友人は「自分はいつもお古を使っている」とぼやいていました。
子供はすぐに大きくなってしまいますから、親としては、個々に買うのは勿体ないと思うのでしょうね。今ならばその気持ちはわかります。でも本人としては「いつも新しいものを買ってもらうのは、お姉ちゃんばかり」という不満があったのでしょう。ただ私は、それを羨ましいと思っていました。だってたとえば、読書感想文を書く時のことを考えてみてください。あれは課題図書が決まっていたので、お古ではなく、彼女は新しい本を買ってもらえたんです。そうすると、姉の分と自分の分で、二冊の新刊が読めるんですよ。私は毎年厳選して一冊選んでいたのに、です。
隣の芝は青いと言いますが、結局はどっちもどっちなのですよね。親も限りある収入の中で苦労して子育てをしてくれていたはずなので、何も言えませんが、私が今たくさん本を買ってしまうのは、当時の反動もあるかもしれない、と思っています。ただ単に、面白そうな作品があるから、というのも考えられますけどね。
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心休まる古書店
先日久しぶりに、少し遠くにある古書店に行きました。ここに来るといつも入口で、深呼吸をしてしまいます。古い物にある独特な香り……友達は埃といい、知人はカビといいますが、あの湿ったなんともいえない匂いが好きだからです。時々吸い込みすぎて咳込んでしまうのは、ご愛敬だと思ってもらいましょう。ごめんなさいね、お客様。
特に目立つようなポップや注意書きはありませんが、数周もすればカテゴリわけがわかってきます。お気に入りの棚の前を、天井から足元までじいっと見つめ、何冊かを選んで、レジに向かいました。若い女性の店員が、年配の男性にレジを教わりながら勘定をしてくれて「ああ、新しいバイトの子だな」などと、穏やかな気持ちが胸に生まれます。なぜでしょうね。ここは、時間がとてもゆっくり流れている気がするのです。
小さな滑り台とブランコがあるだけの公園や、看板が傾いている古いカフェ、イチョウの綺麗な並木道に、ワインの美味しい地下のレストラン。中には一度訪れただけの場所もありますが、どこも心が落ち着くような素敵な空間で、この書店のように、安らかな気持ちになれます。こんな場所を知っている私って幸せだなあと、時々思うのですよ。